観音三十三ケ所の霊場めぐりは平安時代の中ごろから人々の間で盛んになってきたということですが、鎌倉では大正~昭和の初期に設定されたといわれています。
それでは、三十三ケ所の概要を見てみましょう。
| 番 号 | 対 象 | ポ イ ン ト |
|---|---|---|
| 一番 | 杉本寺 十一面観音 |
本堂にあがって拝観できます。内陣の奥の3体の十一面観音、前方に2体の等身大の観音菩薩、さらに右手に観音三十三身の像が安置されており、観音霊場一番に相応しいところです。 |
| 二番 | 宝戒寺 准胝観音 |
准胝観音(じゅんていかんのん)はこちらも堂内で拝観できます。 |
| 三番 | 安養院 千手観音 |
堂外からですが、本尊阿弥陀如来の周りに、千手観音、聖観音、不空羂索観音、馬頭観音、准胝観音などが祀られており、拝観できます。 |
| 四番 | 長谷寺 十一面観音 |
9メートルを超える木造では国内最大級の十一面観音です。その造立には奈良時代との伝説がありますが、鎌倉時代の終りから室町時代初め頃かと見る人がいます。 |
| 五番 | 来迎寺 (西御門) 如意輪観音 |
電話の予約で拝観できます。 |
| 六番 | 瑞泉寺 千手観音 |
徳川光圀寄進の千手観音。堂外からのお詣りです。 |
| 七番 | 光触寺 聖観音 |
頬焼阿弥陀(ほほやけあみだ)と呼ばれているご本尊の脇侍の聖観音様ですが、堂外からのお詣りです。 |
| 八番 | 明王院 十一面観音 |
堂外でのお詣りです。 |
| 九番 | 浄妙寺 聖観音 |
堂外でのお詣りです。 |
| 十番 | 報国寺 聖観音 |
堂外でのお詣りです。 |
| 番 号 | 対 象 | ポ イ ン ト |
|---|---|---|
| 十一番 | 延命寺 聖観音 |
堂外でのお詣りです。 |
| 十二番 | 教恩寺 聖観音 |
堂外でのお詣りです。 |
| 十三番 | 別願寺 魚籃観音 |
魚籃観音(ぎょらんかんのん)は堂外でのお詣りです。 |
| 十四番 | 来迎寺 (材木座) 聖観音 |
堂外でのお詣りです。 |
| 十五番 | 向福寺 聖観音 |
堂外でのお詣りです。 |
| 十六番 | 九品寺 聖観音 |
堂外でのお詣りです。 |
| 十七番 | 補陀洛寺 十一面観音 |
堂外でのお詣りです。 |
| 十八番 | 光明寺 如意輪観音 |
本堂に上がることができますので、まじかに拝観できます。 |
| 十九番 | 蓮乗院 十一面観音 |
堂外でのお詣りです。 |
| 二十番 | 千手院 千手観音 |
堂外でのお詣りです。 |
| 番 号 | 対 象 | ポ イ ン ト |
|---|---|---|
| 二十一番 | 虚空蔵堂 (成就院) 聖観音 |
堂外でのお詣りです。毎月13日が縁日です。 |
| 二十二番 | 極楽寺 如意輪観音 |
堂外でのお詣りです。 |
| 二十三番 | 高徳院 観音堂 聖観音 |
大仏の背後にある観月堂の本尊です。観月堂は韓国に返還される計画があり、時機は未定だそうですが、いずれお詣りができなくなるかもしれません。 |
| 二十四番 | 寿福寺 十一面観音 |
堂外でのお詣りです。 |
| 二十五番 | 浄光明寺 千手観音 |
堂外でのお詣りです。 |
| 二十六番 | 海蔵寺 十一面観音 |
堂外でのお詣りです。 |
| 二十七番 | 妙高院 (建長寺) 聖観音 |
境内に入れません。 |
| 二十八番 | 建長寺 千手観音 |
仏殿の本尊の脇に祀られています。 |
| 二十九番 | 明月院 聖観音 |
ご本尊で堂外から拝観できます。 |
| 三十番 | 報国寺 聖観音 |
堂外でのお詣りです。 |
| 三十一番 | 浄智寺 聖観音 |
本堂(曇華殿)の建物のうしろ側の角に安置されていますので、間近に拝見できます。 |
| 三十二番 | 東慶寺 聖観音 |
松岡宝蔵で間近に拝観できます。 |
| 三十三番 | 円覚寺 (仏日庵) 十一面観音 |
十一面観音は時宗廟で拝観できます。 |
観 世 音 菩 薩
観世音菩薩は観音さまとして親しまれ、ひろく信仰されてきました。「世」の人々の苦しみ、救いを求める声「音」を観察して「観」、手をさしのべ救ってくれる仏さま、すなわち「観世音」となるようです。
主な観世音菩薩の種類
- 聖観音:以下にあるような独特な様相とは異なり、顔は一面、手は二本(二臂)、宝冠をかぶり、右手に蓮の花、左手に水瓶をもつ、オーソドックスな姿の観音菩薩です。
- 十一面観音:頭上、正面に三面の菩薩の面、向かって右に三面の忿怒の面、左に牙をむきだした三面、うしろに暴悪大笑という一面があり、頂上に仏面を載せるのが典型的な姿です。
- 千手観音:千の手をもつ観音ですが、実際に千の手(臂)があるものは少なく、42本というのが代表的です。2本は前で組んで、残りの40本は、各1本が25人の衆生(合計1000人)を救うというものです。手には宝珠や宝剣、蓮華、数珠など救済の手段を持っています。顔は十一面観音と同様です。
- 如意輪観音:如意とは如意宝珠のことで、あらゆる願が叶うという珠です。輪は法輪のことで、智慧の力で制圧する仏の教えを、戦車が敵を倒すのにたとえたものです。六臂が多く、右の手を頬にあてるような思惟の姿で、右の膝を立てて座って(輪王坐)います。
- 准胝観音:准胝とは、もともと仏母と呼ばれ、衆生を救うため、無数の仏を生み出したといわれています。一面三目十八臂が標準の姿です。子どもを授けてもらうために信仰されています。
- 馬頭観音:頭上に馬頭を載せているのが特徴で、馬が交通の手段であった時代に信仰され、また農村地帯や馬にかかわる人から信仰されています。
- 不空羂索観音:ものを捕らえるのに絶対失敗しない綱をもっていて、衆生を漏れなく救うというものです。額にも目を持っています。
- 三十三観音:観音菩薩は相手をする衆生の立場などに応じて、三十三の姿に変わるといわれています。さらに、観音経に基づく像容に加えて、俗信と混ざった新たな観音菩薩が出現しました。たとえば、白衣観音(大船観音)、滝見観音、魚籃観音(別願寺:魚をいれた籠を手にもつ)、水月観音(東慶寺)など、名前から姿が想像されます。